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【年収や工事内容から見る】第二種電気工事士の次に取りたい資格

第二種電気工事士は一般住宅や小規模店舗での電気工事は可能ですが、大規模な施設での工事には制限があります。電気工事に携わる上で最も基礎的な資格であるといっても過言ではないほど作業範囲が限定されているため、「電気工事士として幅を広げる」「上を目指していきたい」と考えているのであれば、どんどん次の資格を取得していったほうがキャリアアップに繋がります。

とはいえ、一括りに電気工事と言っても扱うものや目指すものによって適した資格も様々。そこでこの記事では、電気工事の中でもジャンル分けして、第二種電気工事士の次に取得を目指す資格を紹介していきます。

目次

ジャンル別に必要な電気の資格

電気工事のジャンルごとに、主に必要な資格を以下の表にまとめました。※安全・特別教育などで取得する資格は除いています。

ビル内のメンテナンスや配線などの内線工事認定電気工事従事者
消防設備士
電気工事施工管理技士
電柱やキュービクルなどの高圧設備第一種電気工事士
電気工事施工管理技士
電気主任技術者
自然エネルギー発電の建設や管理第一種電気工事士
エネルギー管理士
電気主任技術者
JRや市電を扱う鉄道電気工事士第一種電気工事士
電気工事施工管理技士
電気主任技術者
光ケーブルや電波塔などの通信設備電気通信主任技術者
工事担当者
その他特殊工事(ネオン工事)特種電気工事資格者

表から分かるように、第一種電気工事士・電気工事施工管理技士・電気主任技術者がほとんどの現場で重宝される資格であることがわかりますね。これらは第二種電気工事士の上位互換的存在であり、消防設備士・認定電気工事従事者・特殊電気工事資格者は、第二種電気工事士の幅を広げる武器や装備、と言った位置関係を持っています。

新しい資格をとる、というのは自己投資によるキャリアアップを望むのが本質かと思います。では持っている資格によって年収に差があるのかみてみましょう。

資格所有者の年収ランキング

平均年収資格年収難易度
650万電気主任技術者第一種550~800万☆☆☆☆☆
第二種500~750万☆☆☆☆
第三種350~500万☆☆☆☆
550万エネルギー管理士400〜700万☆☆☆
550万電気工事施工管理技士1級500〜700万☆☆☆
2級400万☆☆
500万電気通信主任技術者400〜600万☆☆☆
460万電気工事士第一種400〜600万☆☆☆
第二種400万☆☆
400万特殊電気工事資格者300〜500万
認定電気工事従事者400万
工事担当者300〜500万☆☆☆
350万消防設備士300〜400万☆☆

やはり電気に携わる資格の中で最難関級である第一種電気主任技術者(電験一種)が最も年収が高い傾向にあります。同じく難易度が高い電験三種の年収が、電気工事士よりも低めなのは、「電気工事士が現場作業で怪我などのリスクを負っている分の手当て」だと考えるのが妥当でしょう。

企業によっても資格保持者の年収はばらつきがありますが、資格の難易度が高いほど年収は高くなるようです。また、この中では一番低い消防設備士ですが、乙1〜7類・甲種と細かく部門が分かれています。中には年収が1000万円を超える人もいるため、この表はあくまで参考資料としてください。

第二種電気工事士の幅を広げる資格

第二種電気工事士が従事できるのは、一般電気工作物(住宅や小規模オフィスなど)です。電気工作物という括りの中ではごく一部であるため、以下の資格を取得していくことで、その範囲を拡大していけます。

(参照:経済産業省_電気工事等の従事範囲)

認定電気工事従事者

認定電気工事従事者は、「最大電力500kW未満の需要設備のうち600V以下で使用する電気工作物(例えば高圧で受電し低圧に変換されたあとの100V又は200Vの配線、負荷設備等)の電気工事」に従事できるとされています。

つまり、低圧の自家用電気工作物の工事に従事できるようになり、講習を受講することで取得可能です。そのため試験に挑むことなく資格を取得できます。受講資格は、

  • 第二種電気工事士免状の交付を受けている方
  • 電気主任技術者免状の交付を受けている方

また、以下の条件をクリアしていれば、講習を受けなくても申請するだけで取得できます。

  • 第一種電気工事士試験合格者(免状なし)
  • 第二種電気工事士免状取得後、電気工事に関し3年以上の実務経験を有する方
  • 電気主任技術者免状取得後、電気工作物の工事、維持又は運用に関し3年以上の実務経験を有する方

参考:電気工事技術講習センター

特種電気工事資格者(ネオン工事)

特種電気工事資格者は、繁華街や飲食店に設置されているネオンの工事に従事できるほか、非常用予備発電装置の電気工事が可能となります。第一種電気工事士を取得すれば第二種電気工事士・認定電気工事従事者の従事範囲を網羅できますが、こちらの資格はその範囲外の資格です。

特種電気工事資格者も講習の受講で取得でき、受講資格は電気工事士免状交付者となっています。しかし、認定証をもらうには、ネオン工事・非常用予備発電装置の実務経験5年以上が必要です。

参考:電気工事技術講習センター(※2025年度の申請は終了しています)

消防設備士

消防設備士は、細かく分類すると以下の表のように10以上の資格に分かれています。

種類分類対象設備
甲種特類特殊消防用設備等(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備等)
甲種乙種第1類屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備
第2類泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
第3類不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
第4類自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住宅用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備
第5類金属製避難はしご、救助袋、緩降機
第6類消火器
第7類漏電火災警報器

一見、電気工事士と関連がないように思えますが、これらの筆記試験には電気に関する問題が出題されますが、電気工事士の免状があれば、その問題が免除になります。また、甲種第4類・乙種第4類を受験する場合は、鑑別等試験の問1が免除になり、乙種第7類の場合は、全問が免除になります。

参考:消防試験研究センター

資格の取得が簡単になるほか、内線工事等において作業の幅が広がるため取得に向けて勉強する人も多いようです。

第一種電気工事士

第二種電気工事士の上位資格であり、500kW未満の「自家用電気工作物」の工事が可能となります。筆記・実技ともに第二種電気工事士と類似しているため、知識が新鮮なうちに挑む人が多いです。

免状交付には5年の電気工事実務経験が必要となりますが、受験資格は無いため高校生でも挑める資格です。年収も第二種に比べると大きく変わるため積極的に挑戦したい資格と言えるでしょう。

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電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士とは、電気工事を専門に電気工事に関する施工計画の作成や工程・品質・安全・原価管理、電気工事の監理など行うための資格です。施工管理できる建設現場の規模によって1級と2級に分けられています。

2級電気工事施工管理技士

2級電気工事施工管理技士は、一般建築物を対象に建築一式工事で4,500万円、それ以外では3,000万円以下の電気工事を対象に、主任技術者として従事することができます。

電気工事施工管理技士については、令和6年度より受検資格や試験内容が大幅に改定されました。令和10年度を境に新制度の受検資格へ移行しますが、第二種電気工事士の免状を発行した人は

  • 一次試験
    • 満17歳以上
  • 二次試験
    • 気工事士としての実務経験1年

となっています。一次試験の合格による、次年度以降の一次試験免除は無制限となりました。そのため、まずは一次試験の合格を目標に受検するといいでしょう。また、令和6年度の改訂により学科試験(一次)を合格したものは、実務経験を問わず「2級電気工事施工管理技士補」を取得できます。※1級も同じく

2025年(令和7年)の申請は2月28日に終了したため、来年度に向けて準備すれば十分取得可能な資格です。

参考:建設業振興基金_施工管理技術検定

1級電気工事施工管理技士

1級は、2級に設けられている制限がなくなり、上限なしで電気工事の主任技術者として従事することができる、2級の上位資格です。

規模が大きい資格だけあって受検資格も高く一次試験は満年齢19歳以上という年齢制限だけですが、二次試験からは以下のように受検資格が定められています。

  • 旧受検資格(令和9年まで)
    • 指定学歴から実務経験○年以上
    • その他の学歴は実務経験15年以上
    • 2級電気工事施工管理技士取得から、実務経験5年以上
    • 第一種電気工事士の免状交付を受けたもの
    • 電気主任技術者の免状交付を受けた者の実務経験6年以上

新受検資格(令和10年から施行)される二次試験の受検資格が以下となっています。

区分必要実務経験 (※1)
【区分1】1級第一次検定合格者
1-11級電気工事第一次検定合格後、実務経験5年以上
1-21級電気工事第一次検定合格後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
1-31級電気工事第一次検定合格後、監理技術者補佐 (※3) としての実務経験1年以上
【区分2】1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 (※4)
2-12級電気工事第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上
2-22級電気工事第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分3】1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 (※4)
3-12級電気工事第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上
3-22級電気工事第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分4】1級第一次検定、および第一種電気工事士試験合格または免状交付者
4-1第一種電気工事士試験合格または免状交付後、実務経験5年以上
4-2第一種電気工事士試験合格または免状交付後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分5】1級第一次検定受検予定、および第一種電気工事士試験合格または免状交付者
5-1第一種電気工事士試験合格または免状交付後、実務経験5年以上
5-2第一種電気工事士試験合格または免状交付後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
引用:建築業振興基金_施工管理技術検定

2025年は令和7年ですので、今から実務経験を積めば令和10年の新制度でもギリギリ二次試験を受検できる、、、というほど実務経験が必要となってしまうのが分かるでしょう。

この資格を最短で取得するには、令和7年度で第一種電気工事士を取得し令和11年度に挑戦する(一次試験はいつでも)、または一次試験に受検し「施工管理技士補」を取得する、と言った形が望ましいように思えます。

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施工管理技士補

1級電気工事施工管理技士は、ご覧いただいた通り受検資格に実務経験が絡むためそもそも受検しにくい資格です。そこで新たに作られた資格が、一次検定を合格すれば免状を発行できる「施工管理技士補」となります。

施工管理技士補は、名の通り施工管理技士のサポートができるようになる資格で、1級二次試験受検資格新制度にある「特定実務経験」または「監理技術者補佐」の対象になれる(企業が認めた場合)ため実務経験年数の短縮が狙えます。

一次試験の合格率は40%前後であるため、難易度は”中の下”と言ったところでしょうか。令和7年度は申し込みが終了してしまったので、翌年に向けてしっかりと準備できる期間があるためおすすめです。

電気主任技術者(一〜三種)

電気主任技術者とは、自家用工作物を取り扱うことができる国家資格です。電圧によって一から三種と分けられており、一種は上限がなくなると同時に、最も合格率が低い難関資格といえます。

しかし、施工管理技士と違ってこの資格には受検資格が設けられていません。免状の交付には実務経験が必要ですが、極端に言えば小学生でも受検できます。

それぞれ4科目から試験が構成されており、全てを3年以内に合格すると該当資格試験をクリアできます。科目合格は40%〜50%を推移していますが、トータルした合格率は20%前後であるため、狭き門であることがわかるでしょう。

その他

エネルギー管理士

エネルギー管理士は、工場や発電所など大きなエネルギーを使用する場所の、エネルギー使用の合理化を目的とした資格です。誰でも受講可能であり、合格後1年の実務経験で免状の交付が可能となります。

ただ、エネルギー使用の合理化に関する実務経験を3年以上積んでいれば、認定研修の受講だけで資格を取得できます。該当する場所で勤務するのであれば、実務経験を積みながら、他の資格勉強に手を出した方がいいように感じますね。

電気通信主任技術者

電気通信主任技術者は、電気通信ネットワークの工事、維持及び運用の監督責任者となれる資格です。NTTやKDDI、最近では楽天などの事業用通信設備に関わる資格となっています。

電気工事とは全くジャンルが違うものと認識してもいいほど工事内容に差があるため、通信関係の企業でなければその需要が高いとは言えません。ただ、難易度の高い資格であることは間違いなく、受検資格がないため取得しておいて損はないでしょう。

工事担当者

工事担任者も通信設備に関わる資格です。第一級と第二級に分類されており、 第二級資格はアナログ・デジタルともに合格率100%。 しかし、第一級資格と総合通信資格は20〜30%なため難関資格と言えます。

資格取得の流れとおすすめの取得順序

第二種電気工事士の次に取得したい資格として挙げられるのは、第一種電気工事士・1級電気工事施工管理技士補でしょう。第一種に限っては、第二種の内容がそのまま反映されている問題もありますし、実技試験は難易度が上がるものの、作業自体は大きく変わりません。資格ごとの年収から考えても直接的なキャリアアップに繋がりやすいという利点もあります。また、これらの資格は関連性が高いのもポイントの一つです。

通常の業務をしながらの資格取得は体力や精神力を使うため、長期的なスパンで受検のスケジュールを立てていくことをお勧めします。

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この記事を書いた人

10年以上の電気工事経験のノウハウや知識を皆様に提供しています。
第二種電気工事士・第一種電気工事士・1級電気工事施工管理技士
その他:乙種危険物などの資格所持
SEOライター・コラムライターとしても活動していますので、ライティングのご依頼も受け付けております。

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