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【電技解釈・JIS C 3605】高圧ケーブルの直流耐圧試験(DC22kV)と漏れ電流測定|試験手順・放電処理と水トリー劣化診断

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高圧受電設備(キュービクル)と構内を結ぶ「6.6kV高圧CV/CVTケーブル」は、電気設備の中で最も事故リスクが高く、かつ事故発生時の復旧費用が甚大になる部材です。

新設時の竣工試験や年次点検において、ケーブルの絶縁健全性を確認するために実施されるのが「直流耐圧試験(耐電圧試験)」および「直流漏れ電流測定(絶縁診断)」です。

しかし現場では、

  • 「なぜ6.6kVのケーブルにDC 22,000V(22kV)もの高電圧を印加するのか?」
  • 「試験終了後、正しく放電処置を行わずにケーブルへ触れて作業者が感電しかけた」
  • 「漏れ電流の過渡現象(時間の経過に伴う電流の変化)をどう読み解けばいいのか?」

といった技術的疑問や、命に関わる安全管理上のトラブルが絶えません。

本記事では、電気設備技術基準の解釈(電技解釈第15条)、JIS C 3605(22kV以下の架橋ポリエチレン絶縁ビビルシースケーブル)、各種電気保安協会基準に準拠し、直流耐圧試験の原理・現場手順・残存電荷の放電処理・水トリー劣化の判定基準までを徹底解説します。

目次
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1. 直流耐圧試験の原理と試験電圧(DC 22,000V)の根拠

6.6kV高圧ケーブルの耐電圧試験では、「交流耐圧試験」と「直流耐圧試験」の2つの方法が電技解釈で認められています。

① 試験電圧の計算根拠(電技解釈第15条)

6.6kV高圧配線(非接地系統)における最大使用電圧は 6,900Vです。

  • 交流耐圧試験最大使用電圧の1.5倍の電圧を10分間印加する。
試験電圧=6,900V×1.5=10,350V(10.35kV)\text{試験電圧} = 6,900\text{V} \times 1.5 = 10,350\text{V} \quad (10.35\text{kV})
  • 直流耐圧試験交流耐圧試験電圧の2倍の直流電圧を10分間印加する。
試験電圧=10,350V×2=20,700V(20.7kV)\text{試験電圧} = 10,350\text{V} \times 2 = 20,700\text{V} \quad (20.7\text{kV})

実務の現場(竣工試験等)では、電源変動の余裕や判定基準に基づき、耐圧試験器の設定として「DC 22,000V(22kV)」(または20.7kV)を10分間印加して絶縁破壊を起こさないか確認するのが一般的です。

② なぜ現場では「直流」耐圧試験が多用されるのか?

交流で10.35kVを印加する場合、ケーブルの対地静電容量(静電容量 C)によって大きな充電電流(無効電流)が流れるため、大容量・重量級の試験用変圧器(トランス)を現場に持ち込む必要があります。

一方、直流の場合は印加直後の充電が終われば漏れ電流(数μA程度)しか流れないため、小型・軽量な持ち運び用直流高圧試験器で安全かつ容易に試験が行えるという大きな実務上のメリットがあります。

2. 直流耐圧試験の現場手順と【最重要】放電処置

高圧ケーブルの耐圧試験は、一歩間違えれば死亡事故に繋がる超高電圧を扱います。手順と安全管理の徹底が必須です。

① 試験の基本手順(高圧試験器の使用)

【事前準備】検電・両端切り離し・安全接地
      ↓
【ステップ1】試験器の接続(高圧リードを芯線へ、アース線を遮蔽層・D種接地へ)
      ↓
【ステップ2】段階昇圧(5kV、10kV、15kV、22kVへ徐々に電圧を印加)
      ↓
【ステップ3】DC 22kVで10分間保持(電流値の挙動を監視)
      ↓
【ステップ4】電圧降下(試験器のダイヤルをゼロへ戻す)
      ↓
【★ステップ5】残留電荷の放電処理(接地放電)

② 【最重要】「残留電荷の放電処理」を行わないとどうなるか?

CVTケーブルは、中心導体と外部遮蔽層(銅テープ)の間に絶縁体(架橋ポリエチレン)が挟まれた「極めて静電容量の大きいコンデンサ」そのものです。

DC 22kVの試験終了直後、ケーブル内部には極めて強力な高電圧電荷(静電容量エネルギー)が溜まったまま保持されています。

【危険!】試験器の電源を切っただけでは、ケーブルは22,000Vに充電された蓄電池状態!
 ➔ 人体が直接触れると、強烈な放電ショック(感電・心臓麻痺)を引き起こす!

正しい放電手順(放電棒の使用)

  1. 放電棒の接地取り付け:放電棒の接地リードを、必ず確実な接地極(D種接地)へ接続する。
  2. 抵抗放電(1段階目):放電棒の先にある「保護抵抗」をケーブル芯線(高圧端子)に触れさせ、数秒間かけて静かに電荷を放電させる(一発で直接接地するとサージ電圧で機器や絶縁を痛めるため)。
  3. 直接接地(2段階目):抵抗放電後、放電棒の金属直接フックを芯線に直接引っ掛け、そのまま作業完了まで接地状態(短絡接地)を維持する。

3. 直流漏れ電流測定と過渡現象の読み方(絶縁診断)

耐圧試験(10分間保持)の最中には、マイクロアンペア($\mu\text{A}$)単位の直流漏れ電流をアース側で測定し、ケーブルの健全性を診断します。

① 印加時に流れる「3つの電流成分」

高圧直流電圧を印加した瞬間、流れる電流は以下の3つの合計値となります。

  1. 充電電流:ケーブルの静電容量を充電する電流。印加直後に一瞬大きく流れ、数秒でゼロになる。
  2. 吸収電流:絶縁体内部の分子極性移動や不純物の分極に費やされる電流。数分間かけて徐々に減衰する。
  3. 漏れ電流(伝導電流):絶縁体を通り抜けて恒常的に流れる電流。劣化がなければ時間経過とともに一定の極小値に収束する。
【電流の時間推移グラフイメージ】
 電流(μA)
  │ █ (充電電流:瞬時に消滅)
  │  ╲
  │   ╲ (吸収電流:数分で衰減)
  │    └───  ───  ─── (漏れ電流:定常状態へ)
  └──────────────────────────── 時間(分)
      1分      5分     10分

② 吸収比(10分値 / 1分値)による健全性判定

時間が経過するにつれて電流値が下がっていく現象を「吸蔵現象」と呼びます。

  • 健全なケーブル:吸収電流がしっかり減衰するため、1分後の電流値(I1)より10分後の電流値(I10)の方が小さくなる(吸収比 I10 / I_1 < 1.0)。
  • 劣化・水トリーのあるケーブル:絶縁破壊が進んでいると漏れ電流成分が支配的となり、時間が経っても電流が下がらない、または時間経過とともに電流が増加・動揺(フラクチュエーション)する。

4. 水トリー劣化のメカニズムと判定閾値

高圧CVケーブルの経年劣化で最も警戒すべき事象が「水トリー(Water Tree)現象」です。

① 水トリー発生のメカニズム

高圧ケーブル内部に微小な水分やボイド(気泡・不純物)が存在する状態で、長年にわたり高電界が加わり続けると、水分が静電着力によって引き寄せられ、絶縁体(架橋ポリエチレン)内部に木(Tree)の枝状の微細クラック(水トリー)が発生・伸長する現象です。

  • ボウタイトリー:絶縁体内部の不純物から両側に伸びる水トリー。
  • 外ワントリー / 内ワントリー:外部・内部の半導電層から絶縁体へ向かって伸びる水トリー(高圧遮断事故の主因)。

端末処理や直線接続の作業時には、雨天での作業を極力避けるとともに、防水処理や拭き上げなどの細かな作業が重要です

② 直流漏れ電流測定における判定閾値(一般基準)

各種保守点検基準における、6.6kV CVケーブル(相あたり)の直流漏れ電流判定の目安は以下の通りです。

判定区分漏れ電流値(10分値)特性・過渡現象の挙動現場の対応
良(健全)0.5μA以下時間とともに電流が減少・安定する継続使用可能
要注意0.5μA超 〜 2.0μA 以下電流の減衰が鈍い、微小な変動がある観察強化・次回点検での精密診断
危険(異常)2.0μA(または三相不平衡)時間とともに電流が増加、または乱高下する早期更新(ケーブル引き直し)を推奨

※相ごとの漏れ電流値に3倍以上の不平衡(アンバランス)がある場合も、特定相の水トリー劣化が疑われるため要注意・危険判定となります。

5. 現場トラブルシューティングと安全管理

耐圧試験で過電流トリップ・異常値が出た際のチェックリスト

  • [ ] 端末処理部の清掃:ケーブル両端の端末処理材(テープ・高圧シールド)表面に埃・水分が付着して沿面漏れ電流が流れていないか?(アルコール等でふき取り清掃を行う)
  • [ ] 相手側機器の完全切り離し:変圧器、PAS、VCB、避雷器(LA)などが接続されたままになっていないか?(必ず高圧ケーブル単体に独立させて試験を行う)
  • [ ] 湿度の確認:雨天や高湿度(85%以上)の環境では沿面漏れ電流が増大するため、試験を延期するか端末部に乾燥処置を行う。

【重要注記】現場での最終判定について

※本記事に記載の試験電圧(DC 22kV)、保持時間(10分間)、および漏れ電流の判定閾値は、電技解釈第15条、JIS C 3605、および一般的な電気保安協会の標準運用に基づくものです。実際の施工・竣工点検にあたっては、対象ケーブルのメーカー仕様書、設計図書の特記仕様、および管轄の電気主任技術者・保安協会の指示を必ず優先してください。

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まとめ:正しく安全な耐圧試験で高圧事故を未然に防ぐ

高圧ケーブルの直流耐圧試験と漏れ電流測定は、高圧受電設備の信頼性を担保する最も重要な試験です。

  1. 試験電圧の根拠:6.6kV系統では電技解釈に基づきDC 22kV(10分間)を印加する。
  2. 絶対厳禁の放電ミス:試験終了後は必ず放電棒で抵抗放電➔直接接地を行い、残留電荷による感電事故を防ぐ。
  3. 過渡現象の読み解き:充電・吸収・漏れ電流の推移を監視し、10分後の電流値および時間変化(減衰するか否か)から健全性を判定する。
  4. 水トリー診断:漏れ電流 0.5μA以下を良判定とし、増大・動揺・三相不平衡がある場合はケーブル更新を検討する。

安全手順を100%遵守し、確実な絶縁診断を現場で実践しましょう!

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この記事を書いた人

10年以上の電気工事経験のノウハウや知識を皆様に提供しています。
所有資格:第二種電気工事士・第一種電気工事士・1級電気工事施工管理技士

所属している北海道の電気工事会社『(株)佐々木電設』にて、高圧受電設備の更新や新設工事を承っております。ホームページからご連絡ください。
https://sasaki-dennsetsu.com/

また、私は電気工事に従事する仲間の技術習得や現場作業や電気学の知識・理解向上、キャリアアップを目的として当サイトを運営しています。

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