電気工事の現場で欠かせない「接地工事(アース)」。感電防止や機器保護、漏電遮断器の確実な動作など、保安上の要となる重要な施工です。
しかし現場では、
- 「A種とD種で埋設深さや電線の太さはどう違う?」
- 「B種の接地抵抗値ってどうやって計算するんだっけ?」
- 「アーステスター(接地抵抗計)の測定手順をおさらいしたい」
といった疑問や確認事項が頻繁に出てきます。
本記事では、A種・B種・C種・D種それぞれの施工基準、接地抵抗値、電線サイズの一覧比較表から、現場での施工手順・測定のポイントまでを体系的にまとめました。
各工事の詳しい施工手順や現場でのノウハウは、それぞれの詳細記事(子記事)へのリンクを配置していますので、現場作業前の確認や復習にぜひご活用ください!
1. 接地工事(アース)の目的と基本原則
接地工事の主な目的は、大きく分けて以下の3つです。
- 感電事故の防止:絶縁劣化等で機器の外箱に漏電した際、人体への通過電流を減らして地面へ逃がす。
- 火災・機器損傷の防止:異常電圧(雷サージ等)や漏電電流による火災・機器の焼損を防ぐ。
- 保護装置の確実な動作:漏電遮断器(ELCB)や地絡継電器(DGR)に確実に地絡電流を検知させる。
電気設備技術基準(電技)により、使用電圧や設置場所に応じて「A種」「B種」「C種」「D種」の4種類に分類されています。
2. 接地工事の種類一覧(A・B・C・D種 比較表)
各接地工事の要点を一覧表にまとめました。まずは全体像を把握しましょう。
| 種別 | 適用対象(主な設備) | 規定の接地抵抗値 | 最小電線サイズ | 備考・緩和規定 |
| A種 | 高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器など | 10Ω以下 | 直径 2.6mm 以上 (軟銅線) | 地下75cm以上の埋設ルールあり |
| B種 | 変圧器(トランス)の低圧側中性点 | 計算値(150/I) 以下 ※条件により 300/I, 600/I | 直径 2.6mm 以上 (高圧→低圧変圧器) | 地絡遮断時間により抵抗値が変化 |
| C種 | 300Vを超える低圧機器の外箱など | 10Ω以下 | 直径 1.6mm 以上 | ELCB(0.5秒以内遮断)設置で 500Ω以下 |
| D種 | 300V以下の低圧機器の外箱など | 100Ω以下 | 直径 1.6mm 以上 | ELCB(0.5秒以内遮断)設置で 500Ω以下 |
3. 各接地工事の概要と施工ポイント
A種接地工事(高圧・特別高圧機器)
キュービクル内の高圧機器(VCB、LBS、トランス外箱)や、PAS、避雷器などに施す最も厳しい基準の接地工事です。
- 接地抵抗値:10Ω以下
- 電線の太さ:直径 2.6mm 以上の軟銅線
- 主な施工ルール:アース棒や接地銅板は地下75cm以上の深さに埋設し、金属体からの離隔(2m以上)を確保する。
💡 現場実務での深掘り解説
A種接地の具体的な施工手順、75cm埋設ルールの注意点、アース棒打ち込みのコツなどは以下の記事で詳しく解説しています。
B種接地工事(変圧器の低圧側中性点)
高圧から低圧へ変圧するトランスの低圧側(混触による高圧侵入防止)に施す接地工事です。
- 接地抵抗値:$150 / I$ [Ω] 以下($I$ は高圧側の1線地絡電流)
- 遮断器により一定時間内に自動遮断できる場合は $300/I$ や $600/I$ に緩和。
- 電線の太さ:直径 2.6mm 以上の軟銅線(断面積 $5.5\text{mm}^2$ 以上)
💡 現場実務での深掘り解説
B種接地抵抗値の詳しい計算例や、1線地絡電流の求め方、変圧器容量との関係は以下の記事をご覧ください。
C種接地工事(300Vを超える低圧機器)
三相200V回路を超える設備(例:三相400Vの大型インバータ機器、空調機、大型モータなど)の外箱に施します。
- 接地抵抗値:10Ω以下
- 電線の太さ:直径 1.6mm 以上の軟銅線
- 緩和規定:定格感度電流30mA・動作時間0.5秒以内の漏電遮断器(ELCB)を設置している場合は、500Ω以下まで緩和されます。
💡 現場実務での深掘り解説
C種接地の適用場所や、漏電遮断器による500Ω緩和規定の注意点は以下の記事でまとめています。
D種接地工事(300V以下の低圧機器)
現場で最も施工機会が多い、単相100V・三相200Vなどの一般的な低圧機器に施す接地工事です。
- 接地抵抗値:100Ω以下
- 電線の太さ:直径 1.6mm 以上の軟銅線
- 緩和規定:C種と同様、動作時間0.5秒以内の漏電遮断器(ELCB)設置で500Ω以下に緩和されます。
💡 現場実務での深掘り解説
D種接地の施工手順、省略できる条件(水気のない場所での木製床上設置等)の詳細は以下の記事をご参照ください。
4. 接地抵抗の測定方法(アーステスターの使い方)
接地工事を行った後は、必ずアーステスター(接地抵抗計)を用いて規定値以下に収まっているか測定・確認します。
測定手順の要点(3極法)
- 被測定接地極(E)に緑色リード線を接続。
- 補助接地極(P)をEから約5〜10m離した地面に打ち込み、黄色リード線を接続。
- 補助接地極(C)をPからさらに約5〜10m離した地面(一直線上)に打ち込み、赤色リード線を接続。
- 地圧測定(規定値以下か確認)➔ 接地抵抗測定を実施。
アスファルトやコンクリート上で補助極が刺さらない場合は、網状補助極+散水、または「簡易測定(2極法)」を用いて測定します。
💡 測定実務の深掘り記事
アーステスターの詳しいダイヤル操作、補助極が刺さらない現場での裏ワザ、測定値が出ない場合のトラブルシューティングは以下の記事で解説しています。
接地抵抗とセットで確認が必要な「低圧回路の絶縁抵抗測定(メガー)の手順や漏電特定方法」は以下の記事をご覧ください。
5. まとめ:接地工事は総合的な理解と確実な施工が命
接地工事は、電気設備技術基準に則った正しい種別の選定と施工ルールを守ることが、現場の安全を守る絶対条件です。
- 全体像・種別一覧 ➔ 本ページの比較表で復習
- 各種別の具体的な施工・計算 ➔ 各詳細記事で深掘り
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