電気設備の点検や施工後の確認、あるいは「ブレーカーが落ちた!」というトラブル発生時に必ず登場するのが低圧メガー(絶縁抵抗計)です。
現場や資格試験で頻繁に使う道具ですが、いざ測定しようとすると、
- 「対地電圧150V以下の基準値って0.1MΩだっけ…?」
- 「100V回路の測定で500Vレンジを当てたら機器が壊れる?」
- 「漏電している回路の特定ってどういう手順で進めるの?」
といった疑問や不安が出てくることも少なくありません。
本記事では、電気設備技術基準に定められた低圧絶縁抵抗値の基準から、正しいレンジ(印加電圧)の選び方、電子機器を保護する注意点、現場での漏電切り分け手順までを体系的に解説します!
1. 【電技】低圧絶縁抵抗値の基準と覚え方
低圧電路の絶縁抵抗値は、電気設備技術基準(電技解釈第14条)により、電路の国別使用電圧および対地電圧に応じて厳密に定められています。
まずは現場で必須となる基準値一覧を頭に入れましょう。
低圧絶縁抵抗値の基準一覧表
| 電路の区分 | 対地電圧(または使用電圧) | 規定の絶縁抵抗値(最小値) | 主な回路の例 |
| 300V以下(対地電圧150V以下) | 150V 以下 | 0.1 MΩ 以上 | 単相100V回路(一般的なコンセント・照明) |
| 300V以下(対地電圧150V超) | 150V 超 〜 300V 以下 | 0.2 MΩ 以上 | 単相200V回路、三相200V回路(動力・エアコン) |
| 300Vを超えるもの | 300V 超 | 0.4 MΩ strip | 三相400V回路(大型空調・工場設備) |
※新設工事時の目標値としては、規定値ギリギリではなく1MΩ以上(できれば数10MΩ以上)が確保されているのが一般的です。
2. メガー(絶縁抵抗計)のレンジ選定と注意点
低圧メガーには「125V / 250V / 500V」などの測定レンジ(印加電圧)がついています。回路の電圧に合った正しいレンジを選ばないと、測定対象の電子機器を破壊する原因になります。
レンジ(測定電圧)の正しい選び方
- 125V レンジ:主に対地電圧150V以下の回路(100V回路や弱電系)
- 250V レンジ:主に対地電圧300V以下の回路(単相200V・三相200V回路)
- 500V レンジ:主に300Vを超える回路(三相400V回路)または高圧回路の低圧側
⚠️ 現場で最も重要な注意点(電子機器の保護)
近年の照明(LED)や家電、パソコン、インバータ機器、PLC(シーケンサ)などは、内部に基板や精密な電子部品が入っています。
これらの回路に500Vなどの高いメガー電圧を直接当てると、一発で電子基板が静電破壊(故障)します。
💡 精密機器が入っている回路での測定コツ
- コンセントから家電製品やパソコンのプラグをすべて抜く。
- LED照明のスイッチを切る(または負荷側を切り離す)。
- 切り離せない回路は125Vレンジを使用するか、「一括測定」で相間ではなく「対地間」のみ測定する(またはクランプ式漏れ電流計で代用する)。
3. 低圧メガーの基本測定手順
実際の現場で低圧回路の絶縁抵抗を測定する際のアクション手順です。
必ずブレーカー(NFB・ELCB)を遮断(OFF)にし、テスターで電圧がゼロ(無電圧)であることを確認します。※電圧がかかった状態でメガーを当てると測定器が故障します。
メガーの黒線(EARTHリード)を、分電盤のアース端子(D種接地など)に確実にクリップで接続します。
メガーの赤線(LINEリード)を、測定したい回路のブレーカー二次側(負荷側)端子に当てます。
測定スイッチを押し、指針(またはデジタル数値)が安定した値を読み取ります。測定後はスイッチを離し、電荷を放電させます。
4. 漏電(ブレーカー動作)発生時の切り分け調査手順
「漏電遮断器(ELCB)が落ちて上がらない!」という緊急トラブル時の調査手順です。
- メインブレーカーを落とし、各分岐ブレーカーをすべてOFFにする。
- メインブレーカー(ELCB)を投入する。➔ 落ちなければ、原因は分岐回路のどこかにあります。
- 分電盤のアース端子にメガーのE(黒)を繋ぎ、各分岐ブレーカーの負荷側にL(赤)を順番に当てていく。
- 絶縁抵抗値が「0MΩ」や極端に低い(0.1MΩ未満)値を示す回路を特定する。
- 特定した回路のコンセントから機器を外し、照明スイッチを切って再測定。
- 値が復活した場合 ➔ 接続されていた機器(家電や機器)の故障。
- 値が低いままの場合 ➔ 隠蔽配線やアウトレットボックス内での電線劣化・噛み込み・浸水トラブル。
5. まとめ:低圧メガーは安全なレンジ選定と正確な手順が命!
低圧絶縁抵抗測定の要点をまとめます。
- 基準値:100V系は 0.1MΩ / 200V系は 0.2MΩ / 400V系は 0.4MΩ 以上!
- レンジ選定:回路電圧に応じた適切な電圧を選び、電子機器の破損を防止する!
- トラブル対応:分岐回路を1本ずつ切り分けて漏電箇所を特定する!
低圧の測定知識と手順をマスターしておけば、日常点検から現場のトラブル対応までスムーズにこなせるようになります。
6.6kV高圧回路(VCBやPAS)の絶縁抵抗測定や、SOG動作時の高圧地絡事故の特定手順については、以下の専門記事で解説しています。