電気工事施工管理技士の第二次検定(旧実技試験)において、「品質管理」と並んで頻出する重要なテーマが「工程管理」です。
工程管理の課題では、単に「遅れないように頑張った」という精神論ではなく、制限された時間(特に復電時間が厳守される夜間停電工事など)の中で、どのように工程上のリスクを洗い出し、どのような具体的な技術的対策を講じたかを論理的に整理して記述することが求められます。
本記事では、試験の性質上考慮すべきポイント、夜間停電受電切替工事や地中配線工事を題材とした実戦記述サンプル2選、評価されにくい表現と評価につながりやすい表現の対比、文字数調整のコツを徹底解説します。
1. 「工程管理」の記述で求められる視点と構成
なお、第二次検定における詳細な配点や採点基準は試験実施機関から公表されていません。しかし、施工管理技士に求められる実務能力の観点から、記述においては以下の3つの要素が論理的につながっていることが極めて重要視されると考えられます。
- 【工程上の課題・遅延リスク】
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限られた工期・作業時間の中で、どこがボトルネック(クリティカル工程)になり、どんな遅延リスクがあったか
- 【検討した理由・具体的対策】
限られた工期・作業時間の中で、どこがボトルネック(クリティカル工程)になり、どんな遅延リスクがあったか
遅延を防ぎ復電時間を死守するため、事前準備・人員配置・平行作業・予備機材手配等でどう対策したか。
対策を実施した結果、予定時間内に復電・工事完了でき、次工程や施設運用に支障を与えなかったか。
2. 【記述例①】夜間ビル停電・高圧受電設備(キュービクル)切替工事
既存ビルの夜間全館停電(制限時間6時間)の中で行った高圧受電設備(トランス・VCB)の切替工事を題材とした記述サンプルです。
現場状況・工事概要の設定サンプル
- 工事名: 〇〇ビル 構内高圧受電設備(PAS・トランス)更新工事
- 工事概要: ビル全館停電(23:00〜翌5:00の6時間)内での老朽化高圧機器撤去、新設機器据付および受電耐圧試験
- 立場: 現場代理人(施工管理担当)
実戦記述サンプル(解答用紙の記入構成イメージ)
【1. 特に留意した工程管理上の課題】
本工事は既存商業ビルの営業終了後から翌朝営業開始までの限定された夜間停電時間(6時間以内)で高圧機器の撤去・据付・試験を完遂する必要があった。特に大型トランスの搬出入作業と受電前の耐圧試験がクリティカル工程であり、復電遅延によるビル営業への支障防止が最重要の工程課題であった。
【2. 検討した理由および実施した技術的対策】
停電開始後のタイムロスの削減と作業の円滑化を図るため、停電前にキュービクル外周の仮設養生、搬入ルートの段差解消、および新設機器の事前点検をすべて完了させた。撤去作業と並行してケーブル耐圧試験の事前準備を行う並行作業計画を策定。さらに、重量物の搬出入用にフォークリフトと専用吊り具を事前配置し、作業員を「撤去班」「搬入据付班」「試験班」の3班体制に細分化して各工程の役割と作業時間を分単位で指導した。また、機器不具合や工具破損に備え、予備の仮設ケーブルおよびバックアップ試験器を現場に常備した。
【3. 実施した結果および評価】
各作業班が事前の施工計画に基づき効率的に作業を推進した結果、予定より30分早い4時30分に耐圧試験および絶縁確認を完了した。5時00分の復電予定時刻までに安全に受電を完了し、ビルの翌朝営業に一切の支障をきたすことなく高品質に工程を納めることができた。
時間内に終わるために、どんな計画を立てて、どう計画通りに遂行「させた」のかが肝になると予想されます。なので、たとえ終わる前提の工事であったとしても、細分化して言語化するのが重要です。
3. 【記述例②】工場休業日に行う高圧地中配線・通線切替工事
工場の休日(土日2日間)を利用して行った高圧地中配線(FEP管・CVTケーブル敷設)および既設ケーブルからの切替工事を題材とした記述サンプルです。
現場状況・工事概要の設定サンプル
- 工事名: 〇〇工場 構内高圧地中電線路(CVTケーブル)更新工事
- 工事概要: 工場休業日2日間におけるFEP管路へのCVT60sqケーブル通線(100m)、端末処理、ハンドホール止水、および受電切替
- 立場: 工事責任者(施工管理担当)
実戦記述サンプル(解答用紙の記入構成イメージ)
【1. 特に留意した工程管理上の課題】
工場の操業休止日(土・日の2日間)内において、既設高圧ケーブルの撤去、新規CVTケーブルの通線、端末処理、および耐圧試験を完了させる必要があった。特に手作業による長尺通線作業の遅延が後工程である端末処理や試験工程を圧迫し、月曜朝の工場稼働に遅れが生じるリスクが懸念された。
【2. 検討した理由および実施した技術的対策】
通線工程の不確定要素を排除するため、休止日以前の平日中にFEP管路内の試掘・導通確認(通線ワイヤー挿入)およびハンドホール内の清掃を事前に完了させた。通線当日は電動ウインチとガイドローラーを導入して機械化を図り、通線速度の均一化と作業時間の短縮を推進。また、端末処理作業を2箇所同時に進行できるよう専任の電工技能者を増員配置し、並行施工を徹底した。さらに天候悪化による地中作業の遅延を防ぐため、ハンドホール開口部にあらかじめ仮設雨除けテントを設置して悪天候時でも作業が継続できる環境を整えた。
【3. 実施した結果および評価】
通線作業および端末処理が予定工程通りに進行し、日曜日の15時には直流耐圧試験を完了した。予備時間を含めた工程管理を行ったことで、予定していた受電確認を無事終了し、月曜朝の工場操業開始に確実に間に合わせることができた。
実際に工事してきた人にしてみれば、停電の日取りに合わせて、「停電しなくてもできる作業」を進めておくのは、ごく当たり前の内容ですよね。なので身に染み付いている方にとってみれば、いわばアピール文です。
4. 工程管理で評価されにくい表現 vs 評価につながりやすい表現
採点基準は非公表ですが、記述試験の性質上、客観性や技術的根拠に欠ける曖昧な表現は避けるべきだと考えられます。
| 評価されにくい表現(曖昧・精神論) | 評価につながりやすい表現(技術的・客観的) | 記述のポイント |
| 「遅れないようにみんなでがんばった」 | 作業員を撤去班・据付班・試験班の3班体制に細分化し、並行作業を実施した | 根性論ではなく、体制や施工手順による工程短縮策を示す。 |
| 「夜間工事で時間がなかった」 | **復電制限時間(6時間以内)**という制約に対し、停電前に養生や事前点検を完了させた | 制約条件を具体的な数字(時間・工期)で明記する。 |
| 「急いで作業を進めた」 | 電動ウインチとガイドローラーを導入して機械化を図り、通線時間を短縮した | 単に急ぐのではなく、作業効率化の技術的手段を書く。 |
| 「何事もなく終わって良かった」 | 予定より30分早く受電前試験を完了し、翌朝の操業開始に確実に間に合わせた | 結果を時間や工程の達成度として客観的に表現する。 |
5. 解答用紙の文字数調整と記述のポイント
工程管理の記述を作成する際は、以下のポイントを意識して全体のまとまりを調整してください。
- 時間の制約(制約条件)を明確にする
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「夜間停電時間〇時間以内」「工場休業日〇日間」など、なぜ工程管理が難しかったのかという前提条件を具体的に記述する。
- 事前準備(前段取り)と並行施工をアピールする
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停電前・工事前にできる準備作業(試掘、養生、事前点検)や、複数班による同時並行作業を書くと、施工管理者の調整能力が伝わりやすくなる。
- 指定の枠(文字数)をバランスよく埋める
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記述枠の8割以上を目安に埋め、「課題」「対策」「結果」のバランスを均等に保つ。
採点基準が明確ではない以上、この記事もあくまで”減点される要因”を排除する方法を掲載しているに過ぎません。自分の体験を記述に落とし込むには、プロの目を通した方が間違いなく合格に近づきます。
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