電線の色分けの基本
屋内配線で使用される電線では、単相三線式に用いられることが多い「赤・白・黒」の3心ケーブル、または「白・黒」の単相2心ケーブルが使用されます。それとは別に、冷蔵庫や洗濯機についている、緑のケーブルに黄色のラインが入った接地線が配線されています。
電線色 | 色コード | 記載・刻印 | |
白 | N(Neutral:ニュートラル) | W(White) | |
黒・赤 | L(Live:ライブ) | B(Black)・R(Red) | |
緑/黄色 | E(Earth:アース) | G(grand) |
電圧を流す電圧線には黒・赤を使用し、電気が戻る線として白・接地側の電線とされています。そもそもですが、接地側の色を白つまりアースと呼んだりしますが、厳密には間違っていることがわかりますね。
接地は機器の故障や電線の劣化などによる漏電を大地に逃すことで、電気火災や感電といった電気トラブルを防ぐ役割があります。次のセクションで詳しく見てみましょう。
中性線(アース)と接地線(アース)の違い
中性線と接地線は、どちらも「アース」と呼ばれることがありますが、役割が異なります。ではなぜ白がアースまたは接地側と呼ばれているのか、以下の画像をみながら次のセクションをご覧ください。

接地側(アース線)なぜアースと呼ぶ?
電圧とは、大地との間に生まれる電気の圧力を言います。白は、電柱に設置されている変圧器の二次側ですでに大地と接続された状態であるため、大地間の電圧は0Vです。そのため白の電線は大地と同義であるとして、アース線と一般的に呼ばれています。
もし、「電圧を測定しよう」や「検電しよう」とした線が0Vまたは検電器が反応しなかった場合、電源側で電圧線がアースに接続されている可能性があります。
接地線
緑色に黄色のラインが入った接地線は、電気機器の金属部分などに接続され、漏電時に電流を床に逃がす役割を持つため通常は電流が流れません。保安を目的としているため、機器と直接つながっており、その距離はできる限り近い方が良いです。
水気を含む電子機器や、鉄骨などを使用した建物、電柱に設置されている機器など、電気を使用するものには重要な設備となります。電気工事士の試験でも、電線の接続点をまとめるボックスにも接地を施す問題があるため、試験を控えている人はしっかりと覚えておきましょう。

接地側の色によくあるQ&A
第二種電気工事士の実技で黒をアース線で使うことがあった

例えばことらの問題。「令和6年度 第二種電気工事士実技試験 問1の問題」ですが、スイッチが3つ(イ・ロ・ハ)がありますが、それに向かう電線はVVFの2心が2本と白と黒しかありません。こういった場合は本来3心と2心を使った方がわかりやすいです。とはいえ、試験なのでこのままやると、どうしても黒を白として使う必要が出てきます。
これは色による識別を超えて、「回路を正しく理解しているか」と少し意地悪な出題であると予想できますね。実際、三相三線式、つまりどの線とも200Vが出力されるように接続する場合は、白も電圧線として使用します。あくまで色は目視による回路の確認がしやすくなるためのもの、であるので違和感を感じるかもしれませんが正しい接続の方が重要です。


接地側と非接地側の違いはなんですか?
先述したように白に使われる電線は、高圧を低圧に変圧する変圧器の二次側にて大地と接続されています。そのため白は接地側とされていて、それ以外の電圧線は大地と繋がっていないため「非接地側」となっています。
非接地側には、黒と赤が使用され、100Vまたは200Vが印加されています。
接地側を間違えると?短絡(ショート)の原理とリスク
基本的に接地側を間違えることは電気的に良くありません。しかし、コンセントを差す時にどっちがアースか気にする人はいるでしょうか?ほとんどの電化製品は、コンセント端子のどちらから電気が流れてきても、正常な動作がするように作られているため、なんとかなります。
ただ、活線状態のまま接地線を間違えて接続することは極めて危険です。異なる相(電圧線とアース線)が抵抗(家電など)を通さずに接続された場合、短絡(ショート)が発生します。
短絡とは、抵抗を挟まずに回路が形成された時に回路内を電気が流れることで(電気は光レベルで速いのでギュンギュンに回ります)短絡電流という大きな電流が生まれ、大きなアーク(火花)や電線の溶断、熱を持つことによる劣化など、良いことが一つもない現象です。(電子機器が水没して故障するのも短絡が原因の場合が多いです)
こういったトラブルを防ぐためにも、電線被覆に色を定めて間違い防止の措置をとっているわけです。