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D種接地工事にはどんな資格が必要? 電気工事士との関係も徹底解説

接地工事とは、電気設備の故障や異常電圧が印加されることによって漏れだした電気を大地に逃がす役割を持っています。

電技省令第5条第1項

電路は、十分に絶縁されなければ漏れ電流による火災及び感電の危険が生じる等の種々の障害が生じるため、原則としてその使用電圧に応じて十分に絶縁しなければならないことを規定している。ただし、構造上やむを得ない場合であって危険のおそれがない場合や異常が発生した際に接地等の危険回避ができる措置が講じられている場合は、絶縁しなくてもよいことを規定している。(経済産業省:電気設備に関する技術基準を定める省令の解説

そのため設備としては、一般電気工作物または自家用電気工作物に該当するため、A・B・C・D種の種別に関わらず必ず電気工事士の有資格者でなければ施工できません。

目次

D種接地工事とは?A・B・C種も併せて解説

D種接地工事とは、電技省令第11条によると、

  1. 接地抵抗値は、100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
  2. 接地線は、第3項第二号の規定に準じること。(直径1.6mm以上)

とされています。また、「300V以下の低圧電気機械器具や金属製外箱および金属管などに施す接地工事」ともされているため、100/200Vの冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど水や湿気が生まれる電化製品にはアース線を使用し、D種接地工事を施すことが省令で定められています。

A種接地

A種接地工事は、高圧用機器の外箱(開閉器や避雷器、それらを内包するキュービクル、敷設された電柱など)に、接地抵抗値10Ω以下で施すものです。

A種接地工事省令

一 接地抵抗値は、10Ω以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において可とう性を必要とする部分
は、3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のものであること。
三 接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、前号ハの場合、及び発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所において、接地極を第19条第2項第一号の規定に準じて施設する場合を除き、次により施設すること。
イ 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
ロ 接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、次のいずれかによること。
(イ) 接地極を鉄柱その他の金属体の底面から30cm以上の深さに埋設すること。
(ロ) 接地極を地中でその金属体から1m以上離して埋設すること。
ハ 接地線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること。ただし、接地線を鉄柱その他の金属体に沿って施設する場合以外の場合には、接地線の地表上60cmを超える部分については、この限りでない。
ニ 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。
四 接地線は、避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと。

電技省令31P

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B種接地

B種接地工事は、高圧を低圧に変圧する変圧器二次側0端子に接続される接地で、低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に作用する接地工事です。150/1線地絡電流Igで計算され、接地線は8mm2を使用します。

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C種接地

C種接地工事は、300V以上の低圧設備に施工する接地工事です。

C種接地工事省令

一 接地抵抗値は、10Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線であ
ること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において、可とう性を必要とする部
分は、次のいずれかのものであること。
(イ) 多心コード又は多心キャブタイヤケーブルの1心であって、断面積が0.75mm2以上のもの
(ロ) 可とう性を有する軟銅より線であって、断面積が1.25mm2以上のもの

C種はA種と同じく10Ω以下ですが、「低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω」とされているので、勘違いしないよう注意しましょう。

また、D種を施した場合でも、「C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす」とされています。

D種接地工事を行うために必要な資格

D種接地工事を施工する場合は、第二種電気工事士の資格が必要です。しかし、施工する電気工作物が「自家用電気工作物」である場合、認定電気工事従事者または第一種電気工事士の資格が必須となります。

  • 第二種電気工事士:低圧電気工事の範囲で施工可能(※一般電気工作物のみ)
  • 第一種電気工事士:高圧・低圧どちらでも扱える
  • 認定電気工事従事者:電圧600V以下で使用する自家用電気工作物が施工可能

無資格では、「軽微な工事」しか従事できないため、接地工事で言えば”ねじ止め”程度の作業しかしてはいけません。

どの資格がベストか?

主に内線に分類される第二種電気工事士は、一般電気工作物であれば、D種接地工事の施工が可能です。600V以下の一般電気工作物が施工可能となる国家資格で、電気工事には必須な資格となります。高圧受電されたビルなどの電気室やキュービクルなど、高圧設備を触ることはできません。

認定電気工事従事者となれば、自家用電気工作物も施工範囲となりますが、600V以下であるため低圧の範囲です。そのため、低圧の一般用・自家用電気工作物のC種・D種接地工事であれば規定内として施工することができます。

A種・B種を施工するには、第一種電気工事士が必要です。第二種電気工事士の作業範囲以上の施工が可能になるため、仕事の幅が広がり、キャリアアップにつながるほどの資格の一つと言えます。

また、第一種電気工事士を取得すると、1級電気工事施工管理技士の受講資格も得られるため、電気工事に従事していくのであれば、ぜひ取得したい資格でしょう。

しかし、1種の免状発行には3年の実務経験が必要なため、資格を持っていない方は、まず第二種電気工事士の取得を目指すことをお勧めします。

(※認定電気工事従事者は、第二種電気工事士免状発行後3年以上の実務経験が必要。経済産業省より

未経験でも第二種電気工事士は合格できる?

実務でのD種接地工事と資格の関係

接地は接地銅棒や接地板などを地中に埋め込み、それらと繋がった接地線(アース線)を該当する機器と接続します。機器とアース線を接続する”ねじ止め”作業は、軽微な作業として、資格が必要ありませんが、接地を施工するという作業においては、該当する資格が必要です。

また、機械を使って接地設備を施工する場合は振動工具や粉塵といった安全講習を受ける必要があるため、作業方法によっては電気工事士の資格だけでは施工できないので注意しましょう。

D種接地工事が省略される場合は?

接地工事は、主に人が触れても感電しないために設置されている設備です。そのため、それらの対策が取れていれば設置を省略できます。

  • 対地電圧 150V以下の交流電路で乾燥した場所に電気器具・装置を施設する場合
  • 絶縁性の台・床の上に施設する場合(コンクリート床は省略不可)
  • 二重絶縁構造
  • 絶縁変圧器(線間電圧 300V以下、容量 3kVA以下)を利用して2次側の負荷電路(非接地)に電源を供給する場合
  • 水気のある場所以外の場所に器具・装置を施設し、その供給電路に漏電遮断器(15mA以下、0.1秒以下)を施設する場合

これは電気工事士の資格試験にもよく出てくるので、覚えておくといいでしょう。

まとめ

D種接地工事は第二種電気工事士の資格が必要です。電気工事に従事しているものは自分の仕事の幅を広げるためにも資格取得を目指すのもいいかもしれません。また、工事を管理するものとして作業員を指導する立場にある人たちは、作業員たちに資格の取得を推奨しサポートしてあげることが大切です。

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この記事を書いた人

10年以上の電気工事経験のノウハウや知識を皆様に提供しています。
第二種電気工事士・第一種電気工事士・1級電気工事施工管理技士
その他:乙種危険物などの資格所持
SEOライター・コラムライターとしても活動していますので、ライティングのご依頼も受け付けております。

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