新築店舗の図面を広げて、いざ電気の引き込みを考えたとき。『あれ、この位置に電柱があると駐車場が狭くなるな』『電力会社との打ち合わせって、何から手をつければいいんだ?』と、手が止まっていませんか?
実は、店舗新築や改装に伴う電気設備の変更による『建柱』や『高圧受電工事』は、単に電気を送るための作業ではありません。図面の段階で電柱の配置やルートを読み違えると、後の店舗運営に大きな制限がかかったり、想定外の追加工事で予算が跳ね上がったりする『取り返しのつかないポイント』なんです。
私たちは北海道で、数多くの店舗新築や設備更新に立ち会ってきました。電力会社への申請から、現場の地盤状況を見越した施工計画、そして高圧受電設備の設置まで。すべてを現場の電気工事屋として一括で管理できるからこそ、設計段階から無駄のないコストと、将来を見据えた確実な電力供給を提案できます。
この記事では、電気工事を依頼したい経営者の方が、絶対に知っておくべき『建柱・受電工事のリアル』と『業者選びの賢いルール』を包み隠さずお話しします。
なぜ新築店舗に「プロの建柱」が必要なのか?
だらだらとした説明は必要ありません。読んで字の如く、
建柱(電柱を建てる作業)は穴掘って電柱を刺すだけ。です。
が、電柱強度・地盤状況・埋設物・電力会社配電設備との兼ね合いなど、目に見えないしがらみがけっこうあります。建柱は作業以上に、この『事前打ち合わせ』が最も重要なポイントと言えます。
例として建柱位置を決めるとしましょう。
Q「お店に近いと気になるから遠くにしようかな?」
A「ケーブルが長くなるので、費用が嵩みます」
Q「ビタっとここに欲しいな」
A「水道管があるので、電柱か水道をずらすしかないですね」
Q「目立たない店の裏に設置したいな」
A「電力会社からこっちからは難しいと言われました」
全てにおいてこれらの事象が起こるわけではありませんが、あるあるの話ではあります。電気設備の設計がすでにある場合は、施工する工事会社にも相談し、設計者と交えて協議することをお勧めします。
なぜなら、工事会社は数々の施工経験から、エリアごとの地盤状況なども、掘削前からある程度の提言ができるからです。例えば、地上から2m深くなると、とても柔らかい泥のような場所である場合、一般的な根かせ(電柱の根本を支える資材)では足りません。ズブズブと電柱が刺さっていかないように、特殊な資材を電柱の底に敷いたりします。
このような場合、特殊条件として追加費用が請求される場合も。施工後に「これは必要経費だ」と知らされるより、初めから「この地域だとこんな可能性がある」と知ることができた方が双方納得のいく工事になるのではないでしょうか?
北海道や東北の寒冷地は埋め方も重要
北海道や東北など、気温が氷点下を下回り雪が降るような地域では、冬季間の建柱は特に神経を使う場面があります。それは埋め戻しです。
春の雪解けになると、北海道では風物詩のように道路がボッコボコになります。これは、地面に溜まった雪止め水が地中で凍り、昼間に溶けてなくなる、すると地中に隙間ができるため陥没するポットホールという現象が起こります。
これは建柱の埋め戻しにおいても同じことが起きます。土や砂利などと一緒に氷や雪を混入させてしまうと、春に陥没して電柱が傾いてしまったり、アスファルトを破壊してしまったりする可能性があるのです。
ただ、これまで1,000本近く電柱を建ててきた私でも、冬季間においては「絶対に陥没しない」と約束はできません。細かく圧力をかけても、限りなく氷や雪を取り除いても、ちょっと暖かくなって水が浸透し凍ってしまえばポットホール現象が起きてしまうからです。
大切なのは雪解けしてすぐに陥没していないか、補修作業が必要か確認し、事態が広がらないように早急に対処することです。もし冬季間での工事を予定しているのであれば、このアフターフォローをしてくれるか否かが優良企業を決めるポイントの一つと言えるでしょう。
建柱から高圧受電まで「一気通貫」のメリット
あまり知られていないかもしれませんが、電気工事とは非常に幅広く指されている言葉で、それぞれの作業に専門業者があります。例えば屋内にあるコンセントやブレーカーを工事しているのは”内線”。外にある電柱や電線を工事しているところを”外線”と区別されています。
今回取り上げている、建柱や高圧供給と言うのは、内線と外線のちょうど間に位置する工事区分であると考えてください。つまり、外線を専門にしている会社だと電柱を建てることはできるけれども、そこから建物に向かっての作業は経験値が少ないことが多いです。反対に内線が専門の会社は、電柱を建てる特殊車両を持っていなかったり、建柱のノウハウが少ないところが多いです。
そのため、電気工事会社を探すとしても、
A社「うちは建柱までしかできないよ」
B社「うちは電柱に機械のせてケーブルを乗せるところまで」
C社「うちはキュービクルまで」
D社「うちは建物の中だけ」
と言うふうに細かく業者を発注する可能性が出てきます。すでにお分かりかと思いますが、このように発注業社が分散してしまうと
- 工期が遅れる可能性
- 予算から施工費がオーバーする可能性
などが生じてしまう可能性があります。ネガティブな話ですが、決して無くはない話です。
上記のことを極力無くすためには、外線と内線のどちらのノウハウも持っている会社を探すのが最も効果的です。例として、当サイトを運営している私が所属している(株)佐々木電設では、北電所有の電柱・電線工事のほか、民間企業様の電気供給工事・設備更新をしています。
我々は屋内の配線は事業として行なっていませんが、電柱から屋内配線に至るまでの工事は一貫して行えるため、必要な工事会社は我々と内線会社の2つで済みます。先ほどのA~Cは弊社が施工できます。
- 一貫した見積もりにより予算からはみ出すことはほぼ無い
- 打ち合わせ回数を少なくでき人的コストを抑えられる
- 工期の調整もしやすい
などなど、一貫性を高めるメリットはまだまだあります。電気工事業社を探すのであれば、できる限り作業範囲の広い会社を探すことをお勧めします。
【プロの技術】工事の裏側にある「見えない重要ポイント」
電気工事は重量物を扱ったり、電気という見えないものを相手にするため、そもそも怪我や品質に対してのリスクが高い作業です。例えば本稿のメインである「建柱」作業をあげてみましょう。
建柱作業の見えないポイント
建柱作業は、大まかにみると以下の手順で進められます。
- 施工図面を確認し、建柱位置の決定並びに電柱種類決め
- 掘削作業
- 電柱吊り上げと差し込み・埋め立て
1.ではお客様の要望を限りなく叶えつつも、安全性や今後の設備更新・メンテナンスがしやすい場所などを提案してくるのが良い業者の特徴です。この段階で、現地を確認し例えば建柱車と呼ばれる建柱専門の工事車両で建柱するのか、大型のクレーンで建柱するのか、さらには一般的な電柱か特殊な電柱かを選択していきます。
また先述したように、地盤状況というのは掘ってみないとわかりません。しかし、地域によって土質の特徴があるので、ある程度の備えができます。水が出る・岩石が多い・岩盤でガッチガチなど、それによって工事の方法にも変更が生じる可能性があります。
ここが杜撰なところであれば、工事の段階で「やっぱり無理」なんて言い出すかもしれません。そこの判断はやはり経験と知識の差が出るところであり、その後の工事に大きく影響するでしょう。
高圧ケーブルや高圧機器の正確性
高圧受電する場合は、建柱した電柱に高圧機器や高圧ケーブルが搭載されます。この高圧機器と高圧ケーブルは極めて繊細なものであり、これらを寿命まで取り換えることなく使い続けるには高い技術力が必要です。
例えば高圧ケーブルというのは、電気が流れる銅線を中心に「電気を通さないためのもの」「電気が通ってしまったときに守るもの」「これらを保護するもの」など様々な役割を持つ素材が、何重もの層になっています。
適正に施工することができれば屋外で約15年、屋内で約25年は活躍してくれますが、もし不備があると3~5年、早いと使い始めてすぐに、なんてことも実際に起きています。
少しの水やちょっとした切り残し、強い衝撃を受けた箇所が埋設されているなどが原因としてありますが、高圧ケーブルの寿命を縮めてしまう要因は外から見えないのが厄介です。
つまり、技術力の高さ・経験値の高さ・知識の量が圧倒的に差が出る部分であるといえるでしょう。
気になるお金の話|費用で失敗しないための「適正コスト」
建柱だけの概算費用
高圧受電の建柱費用は私が所属している佐々木電設では、電柱等の資材の手配・運搬・建柱作業・残土処理・後日の地盤確認などを含めてみると1本あたり25万~です。上限が決まっていないのは、
- 地盤によって追加費用が掛かる可能性がある
- 掘った土が埋め戻しに適さずに、砕石(砂利のようなもの)を使う
- 移動費の増減
- 物価高による電柱費(運搬含め)の高騰
- など
など、打ち合わせの段階では明言できない事象が発生してしまうからです。また、建てる場所によっても増額してしまう可能性があります。(以下のことは打ち合わせの時にはお伝えできるでしょう)
- 電力会社の高圧線に電柱が触れてしまう→絶縁性能を有したもので防護する必要
- 建柱車を付けられない場所→クレーンを手配・地盤保護のための鉄板などの手配と設置
- 公道に影響がある場合→道路使用の手配や交通誘導員の配置
- 出張にかかる移動や宿泊費
- など
もしこれらの条件が重なってしまえば、電柱1本建てるだけでも高額になってしまいますが、これからの事業展開に初手からケチをつけてしまうような、安全を軽視し安さを売りにした会社は信用してはいけないと個人的に強く思います。これまで見聞きしてきた事故はひどく凄惨なものもあったからです。
安全を確保しつつ費用を抑える方向で話を進めてくれる会社に依頼するようにしましょう。
高圧機器などの概算費用
こちらは非常に価格帯が幅広くなります。なぜなら高圧ケーブルなどに使用されている銅は時価で値が動くからです。近年の物価高の影響で、お話をいただいた段階では100万円だったものが、工事の着工が遅れて半年後に再度見積もりをとると、10%以上値上がりしていたこともあるからです。
高圧受電の場合以下のような資材が必要になります。※金額の大きいものだけを記載します。
PASと呼ばれる、電力会社とお客様設備を接続・切り離しできるスイッチのような機械と、VCTと呼ばれる高圧の電気メーター(これは電力会社持ち。キュービクル(外に設置する鉄箱)や電気室に配置されることもある)、そして高圧ケーブル、それらを支持する金物などが資材費として挙げられます。
| PAS | 電力会社とお客様設備を一動作で接続・切り離しできるスイッチの役割を持つ機器 もっと詳しく知りたい | 一般的なものは100万円前後 |
| 高圧ケーブル | 電柱からキュービクルをつなぐためのケーブル 使用電力によって太さが変更される 長さによっても金額が上下する | 1m10万円程度~ 電柱から地面に埋まるまでで10mは必要 ※上変動あり |
| 変圧器 | 高圧ケーブルによってキュービクルに運ばれた高圧の電気を低圧に変換する装置 こちらも使用電力量によって容量が変わり金額の上下がある | 100万円~ ※上下変動あり |
| キュービクル | 変圧器や各種スイッチ・メーターなどを内包する外箱 コンクリートによる基礎打ちが必要で、内包する機器のサイズや量によって大きさが変わる ※コンビニや飲食店の外にある白っぽい鉄の箱 | 200万円~ ※変圧器などがすでに内臓された出来合いのものが多い |
表にも書いてあるように、キュービクルはコンクリートによる基礎の上に設置しなければならないので、コンクリート費用も追加で発生するので、高圧ケーブルを10mとしても資材等で500万円程度。
それに合わせて工事費として100万円程度が追加で発生します。この工事費の中には、キュービクルの設置のほかに、「接地工事」と呼ばれる作業も含まれます。
接地工事というのは、機器が何らかの影響で漏電してしまった際に、他物の保護や電気火災を防止するための設備をいいます。
接地工事についてちょっと気になる方へ→高圧機器の接地工事
建柱から高圧受電までのトータル費用目安
材料費や燃料費などの高騰を視野に入れてあえて高めにトータルを見積もると(コンビニ規模の一番少ない容量の場合)600万円~1000万円とみるべきかもしれません。もちろん、その時の仕入れの価格や、工事のやりやすさなどによって本稿に記載した価格を抑えられる場合もあります。
初期費用としては高額ですが、高圧受電は電気を使う量(電力量)が増えるほど、電気代が安くなるため(高圧受電の方が電力会社にとって効率がいい)月々の支払いが抑えられるだけでなく長期的なコスト低減にも繋がります。
まとめ&CTA(行動喚起)
建柱は電気工事において最初に行われる工事です。そのため建柱だけができる業者を探してもその後に続きません。建柱からキュービクルまたは屋内との接続までを一貫して施工できる業者を探すことで、
- 参入業社が少ないためスケジュールが明確になり工期の短縮
- 施工費の中抜きがなく工費を抑えられる
- 面倒な打ち合わせが少なくて済む
などなど、悪いことは限りなく少ないでしょう。もし「あ、この人好きじゃないな」と感じたら違う業者を探せばいいのですから。
ただ、北海道でさらに言えば札幌市近郊で電気工事会社をお探しの方は、私が所属している佐々木電設をご利用してみてはいかがでしょうか?我々佐々木電設ではお客様とのご縁を大切にしています。お客様からたくさん獲るという考えではなく、正しく適切な費用だけをいただくことを信条としていますので、まずはホームページからお問い合わせください。
『図面を見ていて不安だ』『まずは概算を知りたい』というだけでも大歓迎です。現地調査から電力会社との協議まで、私たち佐々木電設がスムーズな店舗開店を全力でサポートします。