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【完全版】接地抵抗計(アーステスター)の使い方と測定手順!2極法・3極法の違いから接地抵抗値の判定・トラブル対処までプロが解説

電気設備の施工やメンテナンス、年次点検において、接地抵抗測定は設備の安全性を確認するための最も重要な試験の一つです。

「接地抵抗計(アーステスター)の使い方がイマイチ不安」

「2極法(簡易測定)と3極法(精密測定)はどう使い分ける?」

「アスファルト現場で補助接地棒が刺さらない時はどうすればいい?」

このような疑問や悩みを抱えている電気工事士や電気主任技術者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、接地抵抗計の基本的な測定原理から、3極法・2極法の具体手順、接地種別(A〜D種)ごとの判定基準、現場で直面するトラブルの解決法まで、実務にすぐ役立つ知識を完全網羅で解説します。

目次

1. 接地抵抗測定の基礎知識と安全対策

なぜ接地抵抗を測定するのか?

接地(アース)の主な目的は、漏電時の感電防止および保護継電器の確実な動作です。

機器の外箱などに漏電が発生した際、人間の身体よりも抵抗値が低い「接地線」を通って大地へ電流を逃がすことで、人体への感電被害を最小限に抑えます。しかし、接地抵抗値が高すぎると電流が十分に流れず、漏電遮断器(ELB)が作動しなかったり、人体に危険な電圧がかかったりします。

そのため、施工時や定期点検時に接地抵抗計を用いて、規定の抵抗値以下に収まっているかを厳格に測定・管理する必要があります。

💡 あわせて読みたい

そもそもアース線と接地線の用語や役割の整理について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

アース線と接地線の違いと色の識別ルール

測定前の必須安全確認

接地抵抗測定を行う際は、以下の安全対策を必ず徹底してください。

無電圧状態の確認(停電確認)

測定対象が活電状態でないことを検電器で確認します。

残残留電荷の放電

ケーブルや設備に電荷が残っている場合があるため、放電処置を行います。

周囲の安全確認

補助リード線を伸ばす際、通行人や作業員が引っかけないよう注意します。

2. 【測定方式】3極法(精密測定)と2極法(簡易測定)の使い方

接地抵抗の測定には、大きく分けて3極法(精密測定)と2極法(簡易測定)の2種類の方式があります。

【3極法(精密測定)】
  [接地極(E)] ─────── 5〜10m ─────── [補助S(P)] ─────── 5〜10m ─────── [補助H(C)]
   (測定対象)                          (電位極)                        (電流極)

【2極法(簡易測定)】
  [接地極(E)] ──────────────────────────────────────────────── [既設接地(B種等)]
   (測定対象)                                                         (既知の低抵抗極)

① 3極法(精密測定):基本手順と補助極の打ち方

3極法は、最も正確に接地抵抗を測定できる原則的な方法です。新規施工時の検査や定常的な測定では、原則として3極法を使用します。

【配線と端子のカラー】

  • E端子(緑色): 測定対象の接地極(アース)に接続
  • P端子 / S端子(黄色): 補助接地極(電位極)に接続
  • C端子 / H端子(赤色): 補助接地極(電流極)に接続

【測定手順】

STEP
接地線の切り離し

被測定対象の接地線を、設備側から切り離します(他の回路を経由した迂回電流を防ぐため)。

STEP
補助接地棒の打ち込み
  • 被測定接地極(E)から直線上に5〜10m離した位置に、黄色リード線の補助接地棒(P)を打ち込みます。
  • さらにそこから直線上に5〜10m(Eから合計10〜20m)離した位置に、赤色リード線の補助接地棒(C)を打ち込みます。
STEP
地電圧の確認

接地抵抗計のダイヤルを「地電圧(V)」に合わせ、測定値が数ボルト以下(通常10V以下)であることを確認します(地電圧が高いと誤差の原因になります)。

STEP
抵抗測定

測定ボタンを押し、表示された値を読み取ります。

※ダイヤルを合わせて読み取るアナログ式の接地抵抗測定器である場合、わずかに読み取り数値がブレる場合もあります。測定値が正常に出ない場合、どの電極の接触が悪いかもわかりにくいため、作業性を向上させるためにもデジタル式への移行が推奨されます。

⚠️ 注意(10m・20mの直線ルール)

E・P・Cの各極は、必ず一直線上に配置してください。角度がついたり距離が短すぎると、電位分布が干渉し合い、正しい抵抗値が得られなくなります。

② 2極法(簡易測定):ビル・アスファルト現場での使い方

市街地やビル内、全面アスファルトの現場など、補助接地棒を地面に打ち込めない場所で使用するのが「2極法(簡易測定)」です。

2極法では、すでに抵抗値が十分に低いことがわかっている「既設の接地極(主に変圧器のB種接地)」や「構造体コンクリート(鉄骨)」を補助極として利用します

【測定手順】

  1. 接地抵抗計のファンクションを「2極法(簡易測定)」に切り替えます(または付属の簡易測定用アダプタを装着)。
  2. E端子(緑)を測定対象の接地極に接続します。
  3. P/C端子(黄・赤をショートさせた状態)を、近くにある信頼できるB種接地極(配線器具のアース端子など)に接続します。
  4. 測定ボタンを押し、値を読み取ります。

【計算方法】

2極法で表示される値(Rm)は、「測定対象の接地抵抗(Rx)」と「利用した既設接地の抵抗(Rre)」の合算値です。

Rx=RmRreR_x = R_m – R_{re}

利用したB種接地の抵抗値が十分に小さい(数Ω〜十数Ω)場合、測定値をそのまま対象の抵抗値としてみなすことができます。

項目3極法(精密測定)2極法(簡易測定)
測定精度非常に高い(公式な検査に適合)簡易的(目安・現場判断用)
補助接地棒必要(2本打ち込む)不要
適用場所裸地、土、グラウンドなどビル内、アスファルト、コンクリート上
原理自前で電位・電流回路を形成既設の低抵抗極(B種接地等)を借りる

3. 接地種別(A・B・C・D種)の基準値と判定ルール

測定した接地抵抗値が、法令(電気設備技術基準)に適合しているかを判定します。

接地工事の種類と規定抵抗値一覧

接地工事の種類主な適用対象規定抵抗値緩和規定(ELB設置時)
A種接地高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器など10 Ω 以下なし
B種接地変圧器(トランス)の低圧側中性点・一端子計算値以下(※後述)なし
C種接地300Vを超える低圧機器の外箱10 Ω 以下500 Ω 以下(0.5秒以内遮断)
D種接地300V以下の低圧機器の外箱100 Ω 以下500 Ω 以下(0.5秒以内遮断)
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A種接地の具体的な施工方法や深さの基準については、こちらの記事で詳しく解説しています。

A種接地工事の施工方法と接地極の埋設基準

漏電遮断器(ELB)による緩和規定(C種・D種)

定格感度電流100mA以下の漏電遮断器(0.5秒以内に自動動作するもの)が設置されている回路では、C種接地およびD種接地の許容抵抗値が「500Ω以下」に緩和されます。

実際の住宅や小規模事業所のD種接地測定では、100Ωを超えていてもELBが設置されていれば合格(500Ω未満)と判定できるケースが多くあります。

💡合わせて読みたい

D種接地の施工省略条件や、100Ω/500Ωの詳しい判定基準についてはこちらの記事を参照してください。

D種接地工事の基準と施工方法・省略条件の解説

B種接地抵抗値の計算方法

B種接地の規定抵抗値(RB)は、高圧側の1線地絡電流(I1)によって変動します。基本式は以下の通りです。

RB=150I1[Ω]R_B = \frac{150}{I_1} \quad [\Omega]

(※遮断装置の動作時間によって、分子が300または600になる場合があります)

💡 あわせて読みたい

B種接地の計算式の詳細や1線地絡電流の求め方、変圧器構造との関係は以下の記事を参照してください。

B種接地抵抗値の計算方法と1線地絡電流の解説

変圧器二次側の接地がB種接地工事である理由

4. 現場でよくあるトラブルと対処法(測定不能・異常値)

現場でアーステスターを使っていると、「エラーが出て測定できない」「値が大きすぎる」といった問題によく直面します。よくある原因と解決策をまとめました。

トラブル1:補助接地抵抗過大アラーム(P/C端子エラー)が出る

【原因】

補助接地棒を刺した土壌が乾燥している、または砂利や舗装路面で通電していないため、補助極の抵抗が高くなりすぎています。

【対処法】

水(または塩水)をまく

補助接地棒を刺した根元に水をかけ、土壌の含水率を高めます。

補助極の斜め打ち・深打ち

水分のある深い層まで棒をしっかり打ち込みます。

金網・アルミホイルを使う(アスファルト・コンクリート現場)
  • 地面に金属網やアルミホイルを広げ、その上に水をまいてベタ置きし、そこにP/Cペグのクリップを接続します。
  • 市販の「補助接地用導電マット(ペースト)」を使用するのも非常に効果的です。

トラブル2:測定値がパラパラと変動して安定しない

【原因】

地中に漏れ出している地電流(浮遊電圧・高調波ノイズ)が測定信号と干渉しています。

【対処法】

周波数切替機能を使用する

最新のアーステスターには、測定周波数を自動/手動で変更し、ノイズを回避する機能が備わっています。

測定ポイントを変える

近くに大型モータやインバータ設備がある場合、一時的に停止させるか、補助極を打つ方角を90度変えて測定します。

トラブル3:抵抗値が異常に高く(または無限大)表示される

【原因】

リード線の断線、クリップの接触不良、または測定対象の接地線が経年劣化で地中断線している可能性があります。

【対処法】

リード線の導通チェック

リード線同士を直接クリップで挟み、ゼロ点調整(0Ω付近になるか)を確認します。

塗装・サビの除去

測定対象の金属面が塗装されていたりサビていると電流が流れません。ワイヤーブラシやヤスリで金属素地を出してからクリップを噛ませます。

5. 高圧設備・変圧器点検における実務連携

キュービクルなどの高圧受変圧設備における年次点検では、接地抵抗測定単体だけでなく、絶縁抵抗測定(メガー)や保護継電器試験(SOG)との一連のワークフローの中で測定を行います。

年次点検時の標準的な手順

STEP
停電・安全処置

主開閉器の開放、検電、接地取り付け。

STEP
絶縁抵抗測定(メガー)

高圧回路・低圧回路の絶縁状態を確認。

STEP
接地抵抗測定
  • A種接地(キュービクル外箱・避雷器等)の測定。
  • B種接地(変圧器中性点)の測定。
  • C・D種接地の測定。
STEP
継電器動作試験(SOG・PAS等)

地絡時に確実に遮断器が動作することを確認。

接地抵抗が正しく確保されていないと、地絡事故が発生した際にSOGリレー(地絡保護装置)が正しく動作せず、波及事故につながる危険性があります。

💡 あわせて読みたい

高圧設備で地絡事故が発生した際の具体的な対応や、SOG・メガー測定の手順については以下の記事で詳しく解説しています。

高圧地絡事故発生時のSOG・メガー・接地測定手順

まとめ:正しい測定手順で電気設備の安全を守ろう

接地抵抗計(アーステスター)は、電気設備の安全を担保するための命綱とも言える測定器です。

  • 基本は3極法(直線・10m離隔ルール)で正確に測定する
  • 補助極が打てない場所では2極法(簡易測定)を賢く活用する
  • A〜D種の判定基準を頭に入れ、ELB緩和規定も考慮する
  • エラー時には「散水」「導電マット」「ノイズ回避」で柔軟に対処する

これらのポイントをしっかり押さえ、現場での確実かつ安全な測定・施工に役立ててください。

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この記事を書いた人

10年以上の電気工事経験のノウハウや知識を皆様に提供しています。
所有資格:第二種電気工事士・第一種電気工事士・1級電気工事施工管理技士

所属している北海道の電気工事会社『(株)佐々木電設』にて、高圧受電設備の更新や新設工事を承っております。ホームページからご連絡ください。
https://sasaki-dennsetsu.com/

また、私は電気工事に従事する仲間の技術習得や現場作業や電気学の知識・理解向上、キャリアアップを目的として当サイトを運営しています。

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